私も保育園に勤め始めて30年以上が経ってしまいました。その中でいろんな研修を受けたり、いろんな人とお話しする機会があり、いろいろと勉強させていただきました。その一つ一つが私に気づきを与えてくれたのだと思いますが、残念ながらほとんどのお話は忘れてしまいました。そんな私でも心に残っている言葉がいくつかあります。そんな言葉を紹介したいと思います。
ある保育団体の全国大会において、高見のっぽさんの講演を聴く機会がありました。ご存じない方も多いと思いますが、今から40年ほど前にNHKの「できるかな」という番組で、着ぐるみのゴン太くんと一緒に工作を行い、一言もしゃべらないキャラクター「ノッポさん」として親しまれていました。
「できるかな」でのエピソードや自身の思いを楽しくお話してくださいました。その中で「私は子どもという言葉は使いません。小さい人という言葉を使います。大人は大きい人、子どもは小さい人と言います。」とお話しされました。子どもといえども大人と同じように一つの尊い命であり、同じように人格を持った存在で、「大人」と「子ども」というように分けてはいけない、大人と比べて単に体が小さいというだけの存在である。といった内容のことをお話しされていたように思います。
昨今、児童虐待の件数が増加の一途をたどっています。確かに以前は「しつけ」ととらえられていたものが「虐待」と認識されるようになったことも増加の原因の一つとは思いますが、「大人」と「子ども」と別物のように区別することは、子どもは未熟なもの、大人に従うべきもの、保護すべきものといった意識が見え隠れするような気がしてなりません。子どもも大人と同じように一つの尊い命、一つの尊重されるべき人格を備えた存在である。と教えてくださったノッポさんのように、すべての人たちが「大きい人。小さい人。」との考えに立つことが小さい人たちの健やかな成長と虐待防止のはじめの一歩だと思います。